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貸主の権利、借主の権利

★本テーマは、不動産相談センターへの以下の投稿がベースになっております。

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 投稿時間:05/10/24(Mon) 14:21
 タイトル:賃貸契約更新時に新たに追加された競売特約について
 投稿者名:luna
⇒賃貸契約更新のため、新しい契約書が送られてきました。
  特約事項の欄に、新しく次のような内容が記載されていました。

   この物件は抵当権が設定されている。
   抵当権が行使された場合、競売日から6ヶ月以内に立ち退く。
   その際、敷金の返還はもとの家主に対するものである。
   新しい家主と引き続き新たな契約を結ぶ際は、新たに敷金を払わなければなら
   ない場合がある。

  この特約の意味するところは、何でしょうか?
  また、新たな契約に対し、どのように対応すべきでしょうか?

                              神奈川・40代女性

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 投稿時間:05/10/24(Mon) 15:23
 タイトル:Re: 賃貸契約更新時に新たに追加された競売特約について
 投稿者名:涌井
 URL : http://kogen.biz/
⇒私見ですが、この内容の通りであり、対抗はできないと思います。

  これは、改正民法395条「短期賃貸借保護」制度の廃止に基づき、契約書の更新
  時に、特約条項の追加を行った契約書の一例であり、法に基づく対応を事前に、
  判り易く契約書に明記した例であり、良心的な不動産業者だと思います。

  なお、改正民法395条は、以下の通りです。
  (平成15年7月25日に国会通過、同年8月1日公布、平成16年4月1日施行)

   第395条(建物引渡し猶予制度)
    1.抵当権者に対抗することを得ざる賃貸借に因り抵当権の目的たる建物の使
     用又は収益を為す者にして左(※Fudosan.JPサポート注:体裁上、「下」
     になります)に掲げたるもの(以下建物使用者と称す)は其建物の競売の
     場合に於て買受人の買受の時より六箇月を経過するまでは其建物を買受人
     に引渡すことを要せず。

     一 競売手続の開始前より使用又は収益を為す者
     二 強制管理又は担保不動産収益執行の管理人が競売手続の開始後に為し
       たる賃貸借に因り使用又は収益を為す者

    2.前項の規定は買受人の買受の時より後に同項の建物の使用を為したること
     の対価に付き買受人が建物使用者に対し相当の期間を定めて其一月分以上
     の支払を催告し其相当の期間内に履行なき場合のは之を適用せず。

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 投稿時間:05/10/24(Mon) 16:06
 タイトル:Re: 賃貸契約更新時に新たに追加された競売特約について
 投稿者名:涌井
 URL : http://kogen.biz/
⇒追加ですが、2004年3月31日以前に賃貸借契約を結び、すでに引渡しも済んで現
  在契約中である物件については、2004年4月1日以降も引き続き短期賃貸借保護制
  度が適用されると思います。

  つまり、契約期間または更新期間が3年以内の契約であれば、抵当権が実行され
  ても、残りの契約期間(または残りの更新期間)中は利用することができると思
  われます。

  ですから、入居日が2004年3月31日以前であれば、この特約条項の一部を変更し
  てもらうことになると思います(6ヶ月→残りの契約期間)。
  なお、敷金の返還に付きましても新所有者(買受人)に請求することになると思
  います。

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 投稿時間:05/10/24(Mon) 17:42
 タイトル:Re: 賃貸契約更新時に新たに追加された競売特約について
 投稿者名:luna
⇒親切な助言、ありがとうございます。

  大家さんの経営状態(私の場合、大家さんは会社なのです)については全く分か
  らないので、万が一のために、確認させてください。

  今のところには10年ちょっと住んでいます。
  ということは、6ヶ月とある部分を契約満了時までという風に変更してもらうよ
  う交渉できるということですね。
  その場合、自動的に敷金は新しい家主に請求可能と考えてよいのでしょうか。

  また、この特約とは別に、契約の解除の項目に
  「家主は6ヶ月前までに、借り手は1ヶ月前までに申し出れば契約解除できる」
  という記載があります。
  これとの兼ね合いはどうなりますか。

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 投稿時間:05/10/24(Mon) 18:55
 タイトル:Re^2: 賃貸契約更新時に新たに追加された競売特約について
 投稿者名:涌井
 URL : http://kogen.biz/
⇒私の想像も含みますが、おそらく2年毎の更新で、10年経過していると思います
  ので当然、民法改正附則5条により改正前の対象となります。

  民法改正附則5条は、短期賃貸借制度廃止の経過措置として
  「この法律の施行の際現に存する抵当不動産の賃貸借(施行後に更新されたもの
   も含む)のうち民法602条に定める期間を超えないものであって当該抵当不動
   産の抵当権の登記後に対抗要件を備えたものに対する抵当権の効力については、
   なお従前の例による」
  と、規定しています。
  この中の民法602定める期間を超えないものについては、建物の賃貸借においては
  3年以下の契約期間であるということになります。

  私見ですが、前述の民法改正附則5条により、6ヶ月とある部分を契約満了時まで
  という風に変更してもらうよう交渉できるということになりますし(つまり特約
  条項が必要なくなる)、敷金の条項については削除を要求することが可能である
  と思います。

  まとめて簡単に言うと、特約条項自体を全部削除していただくことができるとい
  うことになると思います。

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 投稿時間:05/10/24(Mon) 16:27
 タイトル:Re: 賃貸契約更新時に新たに追加された競売特約について
 投稿者名:前野
 URL : http://1LDO.com/
⇒先に涌井様にとても詳しくご回答いただきましたので、「この特約の意味すると
  ころ」を、私なりにかみくだいてみました。
  厳密には異なる部分もあるかと思われますが、ニュアンスとしては、こんな感じ
  だと思います。

   大家さんは、借りている部屋を担保にお金を借りています。
   (例えば、その部屋を買う際に支払った住宅ローンなど…です)
   大家さんが借金返済できなくなった場合、お金を貸した人(会社)が、借りて
   いる部屋を競売によって売って、大家さんに貸したお金の返済分にします。
   
   実際にそのように売却された場合、競売日から6ヶ月以内に、lunaさんは出て
   いくことになります。
   その際に、支払った敷金は、元々の大家さんに対して、直接、請求することに
   なります(=売られた物件を買った新しい大家さんには請求できません)。

   もし、新しい大家さんが、引き続き、貴方と賃貸契約を結ばれる場合は、新し
   く契約をすることになり、
    ・今までの敷金 → lunaさんが今までの大家さんに自力で請求
    ・これからの敷金 → 新しい大家さんに支払う
   という形になる場合もあります。

  但し、涌井様が補足していただいた状況であれば、
   ・6ヶ月以内に退去するのではなく、契約の満期での退去
   ・今までの敷金も新しい大家さんに請求
  と言うような形での変更が可能だろう…とのことです。


  ■涌井様への確認

   すみません、私からの追加の確認です。
   上記の特約を含む契約を結んだ場合、
    ・立ち退く必要はあるが、新たな所有者に対し、立退き料の請求はできる
    ・但し、旧所有者に請求する支払済みの敷金について、旧所有者が破産し
     ている場合は、回収できない場合がある
   と考えて、宜しいでしょうか?


  ■本当は不動産BBS向きかも知れませんが…

   敷金に対して、契約時の所有者に直接請求をするのであれば、所有者の財務状
   況の開示などを請求できるような仕組みが必要な気もしますが、いかがなもの
   でしょう?
   でも、個人情報保護の時代と逆行してしまいます…。
   (確か、韓国の場合は、家賃ではなく高額な保証金を家主に預ける方式で、そ
    の分、家主の財務状況のチェックが重要ポイント…のような話を、以前、TV
    でやっていたような気がします。間違っていたら、すみません)

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 投稿時間:05/10/24(Mon) 18:18
 タイトル:Re^2: 賃貸契約更新時に新たに追加された競売特約について
 投稿者名:涌井
 URL : http://kogen.biz/
⇒前野様、今回のご相談は競売の場合に限定された改正に関するものですが、この
  改正の目的は、制度悪用をするいわゆる「占有屋」排除のための改正です。

  現実的に考えますと、おそらくアパート等を競落する競落人の多くは家賃収入を
  目的としているのですから、問題なく賃貸借を引き継ぐのが普通ですし、競落価
  格にも、将来負担する敷金を織り込んでいるはずです。だから、実務での問題発
  生は少ないはずです。
  しかし、今後は敷金が戻らず退去を請求されることも確かに考えられます。

  さて、立ち退き料に関してですが、強制執行の費用が高額なことを考えると、任
  意立退交渉により通常の立ち退き料と同等の金員は新賃貸人に請求も可能だと思
  いますが、上記の通り、通常は退去自体が求められないと思いますし、私が実際
  にアパートの競落のその後を見ている限りにおいては、退去を要求した事例は、
  大規模な改装が必要な物件の1件のみで、その他のアパートは、そのまま賃貸借
  を続けています(この場合も業者なので、近くの自己所有の別アパートへの引越
  しを薦めていました)。

  敷金が戻らない危険性については、仲介業者が「抵当権付賃貸物件」であること
  を重説で説明する時に、併せて説明すべきであると思います。
  もし、説明してない場合は仲介業者の責任問題を問われるケースも、今後、発生
  する可能性もあるとおもいます。
  しかし、国交省では明確に説明義務があると言うスタンスは取っていないようで
  すね。
  もし今後、民事裁判等が提訴され、司法が仲介業者に説明義務違反があったとい
  う判断を下すと、一気に情勢は変わると思います。

  しかし、私が知っている範囲では、敷金については前述の通り、実際は新賃貸人
  (競落者)が対応していることが多いですね(現在はまだ賃貸物件については不
  動産業者等が競落しているケースが多いからかも知れません)。
  今後は、敷金を保全する仕組みの必要性も感じます。
  宅建業者の手付金の保全義務のように、賃貸人は敷金を指定機関で保全する義務
  が必要になる様な制度ができれば良いと思います。

  なお、韓国の情勢については不勉強なので、全く判りません m(_ _)m

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Posted on 10月 24, 2005 法律の解釈 |

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コメント

  涌井様、今回もご丁寧なご回答、有難うございます。
  また、現状の実務レベルでの大きな問題が発生していないようで、安心しており
  ます。

  今回の「特約」の条文で、気になりましたのは、
   ●今後は敷金が戻らず退去を請求されること
  でした。
  改正に至る背景にあった「占有屋」の存在も、結局は法を悪用した結果であり、
  今回の改正も、現在の不動産業界の常識(でもあり、ある意味では「情」識かも
  知れません)を、悪い方に変えてしまう危険性を感じました。

  特に、最近、競売でないものも含め、オーナーチェンジ関係の立ち退きに関する
  相談があり、本来であれば、涌井様のご回答にありましたように、
  「業者なので近くの自己所有の別アパートへの引越しを薦めていました」
  というような対応をすべきであろう業者が、立ち退かせることを最優先している
  ような印象がございましたので…。

  韓国の賃貸事情、調べてみたのですが、最近は低金利のため、日本と同じような
  方法(ウォルセ)も多いようですが、チョンセと呼ばれる方式でした。
  所有者に大金を預託するため、かなりシビアに信用チェックしているようです。
   ※ご参考:TeBiCHi.comさん( http://www.tebichi.com/ )の以下のページ
         http://www.tebichi.com/tebichi/clms/02yr/clms/030710.html

  この方式自体はともかく、敷金の返還を破産した前所有者に直接行うという法律
  ですと、その時には回収不能に至っている可能性が高いことを考慮するならば、
  韓国のチョンセ並みの所有者に対する信用調査が必要な気もします…。

  しかし、仲介業者主導の方式(=所有者とは顔を合わせないことも多い状況)を
  考えますと、所有者の財務状況をチェックするのではなく、まさに涌井様がおっ
  しゃいますような、
   ●敷金を保全する仕組み
  が、不可欠のようにも思います。

  ただ、日本の保全制度は(限りなく偏見的ではありますが)、売買に関しても、
  アメリカのようにエスクローなどに比べると遅れているようにも思えます。
  自動車で喩えるならば、自賠責保険のように、リスクを完全に補えているように
  も思えません。

  そう考えますと、結局は借主の費用負担にはなりますが、今後の動向次第では、
  火災保険に「家主破産特約」などを用意する損保会社に、期待する方法もあるか
  も知れません。

投稿: 前野 | 2005/10/24 22:21:12

賃貸管理業務の重要性を家主さまにアピールして行き、賃貸管理業務で正当な報酬を得る事がこれからの地場業者の生き残りには必要なことだと感じております。 
賃貸管理士等の有資格者がこれからの賃貸業務で重要なポジションを担えるような仕組みができていくと良いと思います。 
もちろんそれ相応の管理業務に必要なノウハウを提供していく為にわれわれも日々精進していくことが必要だと思います。

投稿: 匿名(事業者) | 2005/10/24 22:22:37

なる程、チョンセですか。日本に導入可能かどうかはかなり疑問ですが?基本的には、参照サイトにも有った様に、預金金利が高い事が条件になるでしょうね。定期預金にしておくだけで家賃分の金利がつけば・・・日本ではやはり無理ですね。

敷金を保全するには、その保全する機関自体が共済組合の様な仕組みになれば良いかも知れませんね。所属する大家は組合に最低5万円から出資する必要があり、その出資金を元にして、敷金の1割程度の保険金で敷金全額を保証する保険を運用して、利益が出たら出資者(大家)に還元するとか・・・・そうすれば出資者(大家)が所属する時点で、保証人が2名必要とかにもなると思いますし、業者や賃借人も安心出来るかもしれません。

又、日本には大勢の大家が存在するのですから、全国賃貸人協会のような組織が出来ても不思議ではないと思うのですが、やはり政治家の皆さんが国交省あたりに働きかけて、大家は指定団体に所属する義務が有るとか、供託金を供託する義務を法制化するとかして行く必要性も感じますね。

投稿: 涌井 | 2005/10/25 9:50:49

  涌井様、どうも有難うございます。
  チョンセの仕組み自体は、日本では現実的に厳しいですよね(笑)。
  ただ、その分、韓国では、大家に対する信用調査が一般的になっているように思
  え、その部分で参考にすべき方法はあるかな…などと考えました。

  仰せのとおり、敷金保全の共済組合は、確かに現実的かも知れません。
  本題からやや脱線してしまいますが、借主側ではなく、貸主側では、事故物件に
  なってしまった場合の補償をする互助会が、今月、発足したようですね。
  こちらは、社団の東京共同住宅協会と全国賃貸住宅経営協会東京本部が設立した
  「日本賃貸住宅経営者協助会(あおい協助会)」だそうです。
   http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051015-00000009-mai-soci

  ただ、最近の賃貸関係のトラブルを拝見しておりますと、もう少し業者さんのレ
  ベルアップをしていただきたいなぁ…と思ったりもしております。
  双方の権利の間に入って取り持ってくれるはずが、どちらか一方(特に家主側)
  に、偏りすぎている傾向が強いようにも思えます。

  そう考えますと、まさに匿名(事業者)さんのおっしゃるような、先日、「賃貸
  住宅管理士会」が発足された、賃貸住宅管理士のようなエキスパートの存在に期
  待する今日この頃です。

  例えば、借主に対して加入が条件になっていることの多い火災保険も、保険会社
  によっては、特約で水道の詰まりの救急応対や鍵の閉じ込め対応などがついてい
  るものもあります。
  ですから、金額的な差を考えた上で、貸主・借主の双方にとって最も良いものを
  提案していただける…ぐらいのところまで要求してしまうのは、やはり酷な話な
  のでしょうか…(難)。

投稿: 前野 | 2005/10/25 16:12:30

前野様、素晴らしい情報有難う御座います。と同時に自分の不勉強を反省しています。
(社)全国賃貸住宅経営協会と言う組織が既に有るんですね。
http://www.zenjyu.or.jp/
略称が全住協ですか。昭和44年と言う事は当社の創業より古いんですね。ちょっとびっくりしています。それも国交省の所管になっていますね。でも長野には支部が無いんですね。残念!
ベターマーク制度もHPを見て初めて知りました。
全住協の全国的な拡大と組織の充実が、賃貸人のレベルアップにはかなり重要になっていく様な気がします。全住協が中心になって、敷金の保全の為の組織も作って頂ければ良いですね。
それに、全住協と賃貸住宅管理士会と不動産業界団体の連携が取れる様になれば、全国的な賃貸業ルール作りも可能になるかも知れませんね。

投稿: 涌井 | 2005/10/25 17:49:37

  涌井様、こちらこそ、いつも有難うございます。
  たまたま、瞬間的にYahoo!ニュースのトップに出ていて、私も知りました。
  でも、都道府県ごとに支部は欲しいですね…。
  賃貸も改革時期にあると思いますので、今後に期待です!

投稿: 前野 | 2005/10/25 23:29:24



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